こども園・幼稚園・保育園のためのサバイバル・コンサルティング

2019年10月より幼児教育無償化になります。業界としては追い風の今の時期、今後10年のことを考えておく必要があります。 待機児童が解消され、こどもの数がいまよりさらに減ってきた場合、施設間での生き残りをかけた競争が始まります。 来る競争に向けての準備の一助になれば幸いです。

幼児教育無償化について(幼稚園の運営者向け)

幼児教育無償化について(幼稚園の運営者向け)
 
前回の記事で、幼児教育無償化について現時点でわかっている内容を記しました。
 
幼稚園、保育園、認定こども園、企業主導型保育事業など、運営している
施設によって対応は異なってくるかと思います。
 
まずは一番大きく影響を受けることになるであろう
幼稚園から考えていきたいと思います。
 
幼稚園において、授業料(保育料)をこの際無償化の上限まで上げようと
考えられている園は多いかと思いますが、その際に問題になってくるのが
【幼稚園、保育所認定こども園以外の無償化措置の対象範囲等に関する検討会 報告書】にある
【質の向上を伴わない理由のない保育料の引き上げが行われることにより、事業者の利益を賄うことにならないようにすべき】
という一文です。
 
つまりは、無償化になるにあたって、便乗して値上げをしてはいけませんよ、ということ。
 
この一文の影響がどこまであるのかわかりませんが、
ただ、幼児教育無償化の上限が月2.57万円だからと言って
保育料を月額25,700円にするとなると、それはいかがなものかという
話にもなるかと思います。
もし値上げをするのであれば、【質の向上を伴う】という、何らかの名目を
準備しておいたほうが良いですね。
 
また、値上げをするにしても、いつから無償化が始まるのかで
判断が分かれるかと思います。
もし2019年10月から始まった場合、授業料を期中に値上げするのは
基本的には難しいかと思いますので、値上げするとすれば2019年4月からに
なります。
では、4月から9月までの半年間、値上げした分の授業料はどうなるのか…。
保護者負担になりますよね。
ここをどう考えるのかは判断が難しいところだと思います。
おそらくは4月から9月までは今まで通り就園奨励費が出るかと思いますが、それでも保護者の負担は大きくなります。
 
最後に、あまり話題になっていませんが
幼稚園から認定こども園に移行した際に多く起こったことが、
無償化でも起こることが予想されます。
それは、保護者層の変化。
 
これまでは、保育料が高いといった理由で高嶺の花になっていたような
いわゆるブランドが確立された幼稚園は、対策を立てないと
今回の無償化で身近な存在になってしまいます。
語弊があるかもしれませんが、保育料が無償化になったことにより
これまでとは保護者層が変わり、これまでにあった幼稚園の良さが
失われる、ということもないとは言い切れません。
 
そういった幼稚園では、無償化の上限を大きく超える
保育料を設定することが、結果的に保護者の利益にかなう、ということにもなりえます。
 
それ以外にも、給食費の扱いがどうなるのか、というところでも
対応策は変わるかと思います。
 
これからの情報は要チェックですね。
 
次回は保育園の運営者の立場で考えたいと思います。
 
お読みいただき、ありがとうございました。
 

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